
こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
先日こんなツイートをしました。
ボロアパートを土地値で買えたと
喜んでいる方をよく見かけますが
注意も必要です。というのも
実際の土地の価値にするためには
住んでる人全員退去してもらい
すぐ建てれる状態にしないと
いけないから。退去費用も解体費用もかかるし
造成が必要な土地であれば
造成費用もかかるご注意を👍
— 不動産投資家MASA@38歳でセミリタイア (@2103ou_masuke) January 23, 2021
これはわかりやすくするために具体例を挙げましたが、不動産投資における出口戦略の大切さを理解してもらうためのツイートでした。
不動産投資は物件を検討する際、家賃から返済分を引いた手元に入ってくる収入(キャッシュフロー)ばかりに目が行きがちです。
しかし、不動産投資で成功している人は、不動産を購入する際に必ず出口戦略を検討します。
通常は出口戦略といえば、いつどのように売るか、それとも一生持ち続けるのかといった戦略のことを言いますが、僕がお伝えしている出口戦略はそれにプラスして、最悪な状況を考えた時にどうなるかまで考えます。
なぜなら出口戦略の失敗は、物件の保有期間中に得た家賃収入を、すべて打ち消してしまうほど大きな影響を持っているからです。
逆にいえば、出口戦略を成功させることによって、大きな譲渡利益を生み出すことができます。
購入時には物件の収益性のみを意識して、出口戦略のことを考えていない投資家の方も多くいますが、購入時から最終地点を意識して購入することが重要です。
不動産投資は出口戦略が限られていて、物件購入後は変更することはできません。
不動産投資は、購入時に勝敗が決まってしまうと言っても過言ではありません。
ということは、見極める能力があれば購入時に成功が確約されるようなものです。
この記事では、戸建・マンション・アパートそれぞれの出口戦略や、出口戦略を考慮した購入前の考え方、おすすめの方法をお伝えします。
出口戦略をマスターし、不動産投資を成功に導きましょう!
コンテンツ
不動産投資の成功は出口戦略にあり!様々な出口戦略
税金を考えた出口戦略
税金は売却して利益が出た場合の譲渡税を考慮する必要があります。
この税率が低くなるタイミングで売却するのが、一つの選択肢です。
法人は法人の利益によって税率が決まりますが、個人で保有していた物件の売却益にかかる税率は、物件を保有していた長さによって異なります。
売却した年の1月1日時点で、取得から5年超経っているときの売却を「長期譲渡」といい、税率は約20%です。
そしてそれよりも短い期間での売却は「短期譲渡」と呼ばれ、税率は約40%となります。
よくある間違いですが、取得日から数えて5年ではないので注意しましょう。
簡単に覚えたい方は、取得日から6年と覚えておけば間違いないです。
税率の差異が倍にもなるため、短期譲渡の期間内に売却を行うのは、できるだけ避けるべきです。
僕自身800万円で購入した物件を1,600万円で売却できるチャンスがありましたが、短期譲渡になるため売りませんでした。
長期譲渡になるタイミングで大きな利益が出そうであれば、売却を検討するのもいいでしょう。
不動産投資での節税については、下の記事もあわせてご覧ください。
-
不動産投資で節税できるは嘘!?不動産投資の税金対策と節税の仕組み
困っている人不動産投資は節税できるってほんと? こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。 不動産投資は節税できるという話をよく耳にしますが、本当に節税できるのでしょうか? ...
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ポイント
売却は「長期譲渡」になってから。
減価償却を考えた出口戦略
減価償却期間が終了し、経費が少なくなるタイミングでの売却も、一つの選択肢となります。
減価償却とは、価格が大きく何年も使えるモノについては、購入した年に全額を費用計上するのではなく、何年かに分けて費用計上することです。
例えば、年間の利益が5,000万円の会社が1億円の設備投資を行ったとして、設備の購入費用を全額購入した年に計上してしまうと、いきなり5,000万円の赤字が出てしまいます。
しかし、この設備は1年で使い切るものではなく、何年にもわたって使用し利益を生み出すモノです。
こうした企業等の実情に即した費用計上をするために整備されたのが、減価償却です。
(例)1億円のマンション(建物価格5,000万円)を購入して、その残耐用年数が25年の場合、減価償却費は年に200万円ずつ発生し、25年にわたって費用計上します。
※計算式:建物価格5,000万円÷耐用年数25年=200万円/年
減価償却期間が終了すると、この減価償却費という経費を計上することができなくなります。
経費が減るという事は、賃貸経営における年間の利益が増えるという事になるので、税金が多く発生し、手元に残るお金が少なくなってしまいます。
そのため、減価償却期間が終了するタイミングは、出口戦略として売却すべきタイミングの一つといえます。
ポイント
減価償却が終わるタイミングでの売却も選択肢の一つ。
戸建ての出口戦略
戸建ての出口戦略は、最も方法が多くかつ譲渡益が狙えます。
考えられる方法は以下の通りです。
- 退去後、築古の場合は解体して土地として売却
- 退去後、築浅の場合は実需の戸建て物件として売却
- 賃貸中の場合、オーナーチェンジとして売却
- 賃貸中の場合、退去を依頼し、上記1or2の方法で売却
- 自分が利用する
築古戸建の最もおすすめの出口戦略は、1の土地として売却です。
例えば、土地値の築古オーナーチェンジ戸建てを購入して、家賃収入で残債を減らしつつ、退去と同時に土地として売る方法です。
築古戸建てを土地値の1,000万円で購入して、残債が700万円まで減っていれば、土地の価値は減りませんので同じ1,000万円で売っても、300万円の利益を得ることができます。
一般的にオーナーチェンジ物件は実需物件に比べて割安なので、退去後に売却する戦略は利益を生んでくれる可能性が高まります。
上記1,2,4はオーナーチェンジ物件を買って実需物件として売れば、高い確率で売却益が期待できます。
3は賃貸中ですから、そもそもお金に困っていない限りは売る必要もありませんし、売りたい人もいないでしょう。
となると重要なのは、実需として高く売れる物件かどうかということになります。
購入前に確認すべきポイントを挙げておきます。
- 前面道路が広いこと(理想は4m以上)
- 土地の形が良いこと(正方形もしくは長方形)
- 周辺土地と高低差がないこと
以上が主なポイントになりますが、初心者に多い失敗が3の高低差がある物件を買ってしまうことです。
周辺の土地と高低差があると、新たに建築する際、造成が必要になる場合があります。
そして造成は何百万、ヘタすると何千万とかかることがありますので、注意が必要です。
ポイント
戸建ては出口戦略が豊富で、大きな売却益も狙える。
しかし、周辺土地と高低差のある物件には注意が必要。
ワンルームマンションの出口戦略
ワンルームマンションは出口戦略が弱いのがデメリットです。
- 退去後、実需物件として売却
- 賃貸中をオーナーチェンジ物件として売却
- 自分が利用する
ワンルームの場合、次の買主が自ら住む実需物件として購入する人が少ないので、1の売却では高く売れる可能性が低くなります。
なので、売りたい時に空家の場合は、賃借人がついてから収益物件として売る必要があります。
2は単純に安く買って高く売る必要があるため、よい物件に巡り合えた場合は譲渡益が見込めますが、そう簡単ではありません。
ワンルームマンションは、出口戦略としてはとても弱くオススメできません。
ワンルームマンション投資に関しては、下の記事もあわせてご覧ください。
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ポイント
ワンルームマンションは、出口戦略に乏しくかつ弱い。
ファミリーマンションの出口戦略
ファミリーマンションの出口戦略はワンルームと同じですが、実需物件としての売却に大きな違いが生まれます。
- 退去後、実需物件として売却
- 賃貸中をオーナーチェンジ物件として売却
- 賃貸中の場合、退去を依頼し、実需物件として売却
- 自分が利用する
ファミリータイプは実需物件を探している人が多いため、1や3の実需物件として売却するときに威力を発揮します。
なので出口戦略としては、退去後実需物件として売却の一択になるでしょう。
賃貸中から退去を依頼するのは、手間も費用もかかるのでオススメとは言えません。
もちろんタイミングが合えば、自分で住むという選択肢もあります。
出口戦略が少なくわかりやすいうえに、そこそこの売却益が狙えるので、初心者におすすめの投資対象です。
ポイントは、売却の際にリフォームをするかどうかです。
立地やマンションのグレードによって変わりますので一概には言えませんが、ある程度綺麗にしておいた方が購入されやすくなるため、費用対効果の高いリフォームをおすすめしています。
例えば、壁紙(クロス)は低コストな割に見える範囲が広いため、印象が大きく変わります。
トイレや洗面台、床や畳表替えも低コストな割に喜ばれるリフォームです。
退去後室内を見て、総合的に判断しましょう。
マンション投資に関しては、下の記事もあわせてご覧ください。
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ポイント
ファミリーマンションは、退去後実需物件として売却の一択。
アパートの出口戦略
さて、最も難しいのがアパートです。
考えられる出口戦略が、次の2つしかないからです。
- 現状のまま売却
- 全戸退去後、土地として売却
選択肢としては最も少なく、かつ2は戸数にもよりますが現実的に難しいので、基本的に現状のまま売却の一択になります。
ということは、ワンルームマンション同様、単純に安く買って高く売ることが求められるので、上級者向けと言えるでしょう。
またツイートしたように、よく「土地値で買えた」と喜んでいる投資家を見かけますが、以下の理由から注意が必要です。
- 解体費用がかかる
- 周辺土地と高低差がある場合、造成費用がかかる
- 退去させる場合、退去費用がかかる
実際に土地として売る場合には、上記費用が必要になりますので、土地値で売ってもマイナスになってしまいます。
さらにアパートは、最悪な事態を招きやすいため、上級者向けの投資です。
ボロアパートは特に、故障や不具合が多い、退去が頻繁に出るためリフォーム費用やクリーニング費用がかかる、賃貸募集費用で家賃が吹っ飛ぶどころかマイナスといった事態に陥る可能性があります。
そして、利益が出ないから売却したいとなった時も、出口戦略としてはそのまま売るの一択しかないわけです。
とはいえ、ボロアパートは利回りが高く、大きなキャッシュフローが狙えるので、物件の見極めができる人にはおすすめの投資です。
ポイント
アパートの出口戦略はそのまま売却一択であり、様々な問題を抱える可能性が高いため上級者向け。
出口戦略から考えるおすすめの不動産投資方法
ここでは、今までの内容を鑑みて、出口戦略により利益が最大化される可能性が高い投資方法を紹介します。
まず初心者におすすめなのは、築古戸建とファミリーマンションを買い進め、長期譲渡になって以降、退去が出た場合に売却する戦略です。
理由は、単純かつ出口戦略がどちらも強いからです。
戸建ては退去後土地として売却することによって、ファミリーマンションは退去後実需物件として売却することによって、それぞれ譲渡益が期待できます。
(例)2,000万円でオーナーチェンジ物件購入、6年後退去が出たため、実需物件として2,000万円で売却(オーナーチェンジ物件より実需物件の方が高く売れる可能性が高い)。
※売却2,000万円-残債1,500万円=利益500万円
初心者にオススメの物件に関しては、下の記事もあわせてご覧ください。
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そして、上級者はこの方法にプラスしてアパートを入れるといいでしょう。
アパートの場合は、退去後実需物件として売却の選択肢がないので、売るタイミングは減価償却が終わる頃、もしくは不動産市況が良い時になります。
修繕状況によっては、修繕が必要になる頃の売却も良いタイミングです。
アパートは出口戦略が弱い分、売却に適したタイミングは多くあるので、有利なタイミングで売却する戦略を立てておきましょう。
出口戦略が最も弱いのは、ワンルームマンションとボロアパートです。
これらの物件を購入する際は、いつも以上に気を付けて購入するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
出口戦略の重要性がお分かりいただけたでしょうか。
不動産投資に限らず、すべてにおいて出口戦略を明確にしておくことは、とても重要なことです。
戸建やファミリーマンションが初心者向けなのは、「潰し」がきくからです。
潰しがきくとは、出口戦略が強いことを意味します。
ワンルーム投資が儲からないのは、出口戦略が弱く潰しがきかないからです。
物件を購入する際は、目の前の収入に目を奪われないよう、長期的な視野に立って、出口戦略を明確にしたうえで購入するようにしましょう!