
こんにちはMASA(@2103ou_masuke)です。
不動産投資をする上で、忘れがちですが大切なのは、災害等へのリスクヘッジです。
なぜなら、天災や事件事故リスクは大家としてコントロールすることができません。
このリスクを回避する役割を果たしてくれるのが火災保険です。
火災が起きるのは入居者が原因だから、入居者の保険で対応すべきだと考えている方も多く、実際に入居者が物件を借りる際は、火災保険に入ってもらうことが一般的です。
しかし実は、「失火責任法」というものがあり、失火者に「重大な過失」がなければ、損害賠償責任を負わせないことになっています。
つまり、賃借人は重大な過失がなければ、大家に対して建物の建て替え費用などの負担責任は負わなくてよいということです。
なので、賃貸人である大家も火災保険に入ることは、不動産投資をする上で必須となっています。
そこで今回は、不動産投資における火災保険について総合的に解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
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不動産投資で賃貸物件の火災保険に大家が入る必要がある理由
万が一のための火災保険ですが、実は意外にも加入率が低いというデータがあります。
投資用に限らず自宅も含めた火災保険の加入率については、「持家世帯の保険・共済の加入件数・割合(内閣府)」にて公開されています。
公開データによると、火災保険(共済含む)の加入率は全体の8割前後、地震保険(共済含む)は全体で5割前後との調査結果となっています。
では、不動産投資における火災保険は必要なのでしょうか。
まずは、そもそも融資を利用して不動産投資を行う場合、金融機関から融資を受ける条件として火災保険の加入は必須となっています。
しかし、融資を受けずに収益物件を購入される方でも、火災保険は加入しておくべきです。
なぜなら、火災保険に入っていなかったら、災害が発生した際、物件はなくなるのに借入残債は丸々残ってしまうということになりかねません。
大家は賃貸契約をする上で、火災保険に必ず入らなければならないという法的義務はありませんが、火災等で大きな被害を受けた場合、多額の出費が発生してしまいます。
近年は、地震や土砂災害を中心に自然災害も増加傾向ですので、災害への備えは重要度が増していると言えます。
火災保険を選ぶにあたって、保険料の安さだけで保険を決める人もいますが、不動産賃貸経営においては、必要な分だけ確実に保険金を受け取れる保険を選び加入しておくことが大切です。
最近の火災保険は、火災や自然災害のみならず、放火・窃盗といった事件事故にも対応しているので、賃貸経営する上で心配事を大きく減らすことができます。
不動産投資は、いかに大きなリスクを排除するかが重要ですので、火災保険には必ず加入するようにしましょう。
不動産投資の火災保険における適用範囲
ここでは火災保険の適用範囲について詳しく解説します。
火災保険で補償されるのは大きく分けて「自然災害」と「日常で起こる災害」に分かれます。
自然災害は失火による火災、落雷、台風等の強風による災害、大雨による浸水被害などがあります。
これらは、契約内容によって補償される範囲が異なります。
例えば、大雨による浸水被害は床上何cm以上でなければ、補償されない等の規定が決められています。
一般的な浸水に対する補償である床上45cm以上が補償の条件となっている契約であれば、床上44cmの被害では保険金は1円もおりません。
また補償される場合でも、再調達価額の30%といったように、保険会社によって支払われる割合が決められています。
契約する前に、災害でどの程度被害を受けたら保険金が支払われるのか、しっかり確認しておく必要があります。
もう一方の日常の災害とは、自動車事故による建物の破損や、上の階からの水漏れによる被害等の災害のことです。
日常の災害で起こる損害は、災害を起こした相手方に損害賠償請求ができるケースも多いですが、相手方の支払い能力が十分ではない場合、支払ってもらえない可能性もありますので、保険に入っておくと安心です。
火災保険は、選択する保証の内容や保険会社により多少の違いはありますが、特約を付けることで以下の災害から被った被害に対して保険金が支払われます。
・火災・地震・風災・雹災・雪災・水災による被害
・給排水設備に生じた事故などによる水漏れ
・物件内での死亡事故に伴う清掃・脱臭・整理費用、事故に伴う家賃損失
・物件の保守、管理等に関する損害賠償
・火災や自然災害の事故による建物修復時の一時的な家賃減少
このように特約を付けることで、火災以外にも様々なケースにおいて保険を適用することができます。
ただし、地震が原因で発生した火災による損害や、地震によって延焼・拡大した部分の損害については、火災保険では補償対象外となります。
地震保険は火災保険とは違い、政府と連携して被災者を補償する仕組みのため、どの保険会社を利用しても、保険料や補償内容は同じです。
火災保険の適用範囲は、いざ災害が起こった時に重要なポイントになりますので、しっかりと把握しておきましょう。
不動産投資の火災保険を選ぶポイント
物件購入後に想定される災害などのリスクに対しては、これまで説明したような特約をつけていくことでヘッジ可能ですが、意味なく内容を手厚くしても保険料が高くなるばかりです。
特約の内容を確認し、その物件に必要な特約のみを付ける必要があります。
例えばマンションで水災・風災・雪災を付保する必要はないですよね。
盗難もアパートや戸建て、マンションの一階であれば付けた方が良いと思いますが、上層階で付ける意味はほぼないと言えます。
盗難は、泥棒が窓を割って侵入した際などに、窓の補修費用を負担してくれるものです。
このように、自分の物件に必要なものだけを付保していくことで保険料を安くしていきましょう。
また、補償をつけながらも免責金額を設定することで、保険料を安くすることもできます。
免責金額とは、簡単に言えば自己負担額です。
例えば、免責金額が3万円で10万円の損害が発生した場合、3万円は自己負担しなければならず、残りの7万円を保険でカバーします。
当然免責金額は高く設定するほど保険料が安くなりますが、損害が発生したときの自己負担額は大きくなってしまいますので、損害が発生した時にいくらまでの自己負担なら耐えられるのかシミュレーションしたうえで契約すべきです。
不動産投資の火災保険を選ぶ際は、「想定されるリスク」と「補償内容」、そして「保険料」のバランスを考えて決めるようにしましょう。
不動産投資でおすすめの火災保険特約は4つ
不動産投資で火災保険を選ぶ際、おすすめの特約が4つあります。
・施設賠償責任保険
・家主費用特約
・家賃補償特約
・地震特約
それぞれの特約について解説していきます。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、建物の安全性の維持・管理の不備などが原因で、危害を加えたことにより支払うことになる賠償責任を補償してくれる保険の特約です。
例えば、「建物外壁レンガの劣化による落下での怪我や破損」「建物内部が壊れており、そこでつまずいた人が怪我した」「漏水による入居者の家財に対する損害」などがあります。
ただし、保険会社によって内容が変わりますので、それぞれ保険会社に確認することをおすすめします。
基本的には、築古の戸建やアパートにおすすめの特約ですが、新しい建物であったとしても、問題が起こって人や物を傷つける可能性はゼロではありません。
またマンションの場合も、給排水管の故障で賃借人に損害を与えてしまう可能性もあります。
施設賠償責任保険は安い保険料で大きな補償が得られる特約ですので、すべての物件で付保するようにしましょう。
家主費用補償特約
家賃費用補償特約は、自殺や殺人などの犯罪による死亡および孤独死が発生した場合に、発生する家賃の損失に対して保険金が支払われる特約です。
保険会社により対象は異なりますが、空室による損失、家賃値引きによる損失および原状回復(リフォーム)や遺品整理にかかる費用も保証される場合があります。
近年、高齢化が進むにあたり年々孤独死は増加傾向にありますので、高齢者が一人で住んでいるような物件の場合は、ぜひ付けておきたい特約です。
孤独死は、発見が遅れるほど損害額は大きくなる傾向にありますが、平均損害額は下記をご参照ください。
・残置物処理費用…平均損害額:214,120円
・原状回復費用…平均損害額:361,392円
※一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会 孤独死レポートより
類焼補償特約
自分の物件が火災に遭い、隣の家屋に燃え移ることを類焼と言います。
日本には「失火法」という法律があり、類焼の場合は、故意や重過失でない限り賠償責任を問われないことになっています。
そのため、以前は火災保険では類焼に対する補償はしていませんでしたが、最近は保険会社によっては、類焼を補償する特約が付けられる保険もあります。
火災はいつ何が原因で起こるか分からず、隣の住戸に被害が出た場合には大きな損害になる可能性が高いので、必ず付保しておくようにしましょう。
地震特約
火災保険では保障されない最も厄介な損害が地震です。
火災の中でも、地震を原因とする火災は保険の対象外になりますので、注意が必要です。
日本は地震が多い国であり、災害の中でも最も起こる可能性が高い地震に対する保険需要は年々増しています。
地震保険は単独で契約することはできず、火災保険に付帯する形となっていますので、火災保険の契約時にあわせて特約として付保することになります。
地震特約も築古の戸建てやアパートを中心に加入しておきたい特約です。
最後に、もう一つ覚えておきたいのは、家賃収入補償特約です。
家賃収入補償特約は、建物が火災などにより損害を受けた場合に発生した空室期間の家賃損失に対して、その間に得られるはずだった家賃収入分が支払われる特約です。
可能性は低いですが、災害で万が一建物が損害を受けた場合でも、一定の家賃収入を得たいという方は付けておくと良いでしょう。
ただし、元々の空室期間が長かったり、空室割合が高い場合は支払い対象にならない場合があります。
火災保険の費用について
火災保険の費用については、保険会社によって異なり、また特約をどれだけ付加するかにもよるため、簡単に比較することができません。
物件を購入する際に融資を利用した場合は、銀行が斡旋する保険会社で集団割引を受けることができます。
10%ほどの割引になることが多いようですが、交渉でさらに安くしてもらうことも可能です。
現金の場合は、ネットダイレクト保険が安い傾向にあります。
ソニー損保や楽天損保、SBI損保が安くて有名ですが、不動産投資用物件に必須の「所有者賠償責任保障特約」を付保できるのはSBI損保のみです。
とはいえ、保険会社によって良し悪しは必ずありますので、最適火災保険一括検索サイト
を使って、最適な保険会社を効率よく調べてみることをおすすめします。
さらに最近は、実際に災害が起こった時に最大限の補償を受けるサポートをしてくれるお家の保険相談センターなどのサービスも登場しています。
これは火災保険や地震保険加入者を対象に、建築のプロや保険のプロが建物調査を行い、保険会社への損害申請をサポートするサービスです。
災害が起こって損害が出たのに、保険会社が思うような補償をしてくれなかったという話もよく聞きますよね。
そういった時には、このようなサービスを利用するのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
火災保険は安心して賃貸経営を行うためには不可欠なものです。
不動産投資は、いかに大きなリスクを排除していくかがポイントになりますので、必ず加入するようにしましょう。
加入する時のポイントは、どこまでの適用範囲が必要で、どれだけの補償があったらよいのかを物件ごとに考えていくことです。
そして最終的には、支払う保険料が本当に見合ったものかを確認してください。
自分で補填できる範囲のものは外していくなど、保険料を安くしていく作業も、コスト削減のためには必要な作業です。
物件ごとに必要な特約も変わってくるはずですので、面倒がらずに検討するようにしましょう!