
こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
「賃貸は捨て金だから購入した方がいい」
「購入して10年経ったのに、購入時より高い金額で売れるみたい」
これは周りの購入した知人や売買仲介会社の人からよく聞く言葉です。
しかし本当に購入した方が良いのでしょうか?
結論を先にいうと、「コスト面では購入した方が良いケースが多いですが、どちらが良いかは人それぞれの価値観やライフスタイルによる」です。
最初のセリフを言う友人は、「資産を持っておきたい」という価値観が強いから言っているだけのことです。
僕はライフシチュエーションによって住む場所や物件を変えたいので、賃貸に住んでいます。
賃貸派・購入派がそれぞれどんな理由で選んでいるのか、全国宅地建物取引業協会連合会が2018年度におこなった「不動産の日アンケート」調査をご紹介します。
「賃貸派」の理由
1位(41.8%) 住宅ローンに縛られたくないから
2位(35.8%) 天災時に家を所有していることがリスクになると思うから
3位(26.1%) 税金が大変だから
4位(22.3%) 仕事等の都合で引っ越しする可能性があるから
5位(19.5%) 家族構成の変化で引っ越しする可能性があるから
「購入派」の理由
1位(52.9%) 家賃を払い続けることが無駄に思えるから
2位(32.1%) 落ち着きたいから
3位(30.9%) 持ち家を資産と考えているから
4位(25.2%) 老後の住まいが心配だから
5位(17.7%) 賃貸は何かと気を遣うことが多いから
このように価値観もライフスタイルもそれぞれ違います。
だからどちらが正解か一般論として語ることはできません。
とはいえ、価値観やライフスタイルのみで賃貸にするのか購入するのか決めていくのは危険です。
そこでこの記事では、賃貸か購入かを決めるための材料として、コストを含めたそれぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
比較をする時はコスト面ばかりに目が行きがちですが、それではいけません。
それぞれの特徴を正確に把握し、自分の人生設計の大きな要素である住まいについて、間違いのない選択ができるようにしましょう!
コンテンツ
賃貸と購入どちらがお得!?コストシミュレーションで比較
では早速、賃貸と購入のコストから比較してみましょう。
それぞれ同じ条件でコストを比較するために、基本的な月々の支払い(賃貸は家賃、購入は返済金)を10万円で50年間と仮定します。
まずは賃貸のコストです。
賃貸のコスト面でのポイントは、家賃以外の大きな費用はかからないことです。
項目ごとにコストを表にまとめると、以下のようになりました。
項目 | 50年間の合計費用 |
家賃 | 6,000万円 |
更新料(2年ごと、家賃1月分) | 250万円 |
駐車場代(月1万円) | 600万円 |
総額コスト | 6,850万円 |
※保険料は考慮していません。更新料の有無は地域によって変わります。
次は、購入のコストです。
住宅ローンの返済を月々10万円で金利が1%、返済期間が35年と仮定した場合、総返済額はおよそ4,150万円となります。
購入のコスト面でのポイントは、管理費や修繕費、固定資産税やリフォーム費用が発生することです。
項目ごとにコストを表にまとめると、以下のようになりました。
項目 | 50年間の合計費用 |
購入価格 | 3,500万円 |
住宅ローン利息 | 650万円 |
管理費(月1万円)※戸建ての場合不要 | 600万円 |
修繕積立(月1万円) | 600万円 |
駐車場代(月1万円)※戸建ての場合不要 | 600万円 |
室内リフォーム(25年後) | 400万円 |
固定資産税(年15万円) | 750万円 |
総額コスト | 7,100万円 |
※保険料や各種税金控除は考慮していません。
50年間では賃貸に軍配が上がりましたが、ここからが重要です。
まず、戸建ての場合は、管理費と駐車場代がかかりませんので、それだけで1,200万円が浮くことになります。
また、購入は50年後には自分の資産になっていますので、売却することが可能です。
その時の不動産市況や物件の良し悪しで変わりますが、マンションの場合はざっくり300万円で売れるとしたら、売買時の諸費用を鑑みても賃貸の総コスト額と同額になります。
戸建ての場合は、土地の価値がありますので、もっと高い金額で売却できるでしょう。
さらに現在は、住宅ローン控除がありますので、例の3,500万円の物件であれば300万円ほど控除ができます(最大400万円)。
比較しやすくするために引越しはしない条件にしましたが、賃貸の場合は50年もあれば、少なくとも3回ほどは引越すると思います。
3回分の引越し費用と礼金などの諸費用合計で200万円ほどかかります。
ただし、購入は購入時の諸費用として200万円(購入価格の約6%)ほどかかり、賃貸の引越した場合の諸費用と同額になるため、わかりやすくするためにコスト表からは省きました。
すべてを考慮すると、コスト面では購入に軍配があがり、特に戸建は有利になる結果となりました。
賃貸と購入どちらが良い!?メリットとデメリットで比較
条件にもよりますが、コスト面では購入の方が良いことがわかりました。
ここでは、賃貸と購入それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
自分の価値観やライフスタイルによって、メリットがメリットでなかったりと変わってきます。
ここが重要なポイントになりますので、しっかりと抑えておきましょう。
賃貸のメリット
賃貸の一番のメリットは、必要に応じて引越しやすいという点です。
家族構成の変化、周辺環境の変化、勤務先や学校が変わった時でも、賃貸であれば柔軟に対応することができます。
ご近所に変な方がいたり上の階がうるさい時に、最悪引越しすれば良いという安心感もあります。
また、設備の故障や老朽化、災害で被災したときにかかる修繕などの費用は大家さんの負担です。
壊れやすい給湯器やエアコンも大家さん負担でお願いできるのは嬉しいですよね。
家賃以外の住居に関する大きな費用が発生しない(地域によっては更新料が発生する)ことは、金銭的に計画を立てやすくなります。
賃貸のメリット
・いつでも自由に引越しができるので、リスクヘッジにもなる
・住宅ローンに縛られない
・設備の交換や修理費用の負担がない
・収入やライフスタイルの変化に合わせて住居費をコントロールしやすい
・金銭的な計画が立てやすい
賃貸のデメリット
最もよく言われるのは、家賃が捨て金になってしまうことです。
購入の場合は返済すればするほど自分の資産となっていきますが、賃貸は一生支払い続ける必要があります。
また、賃貸の設備やグレードは物件によって大きく違い、RC造でも一般的に分譲よりグレードは劣ります。
特に古い物件の場合は、古い設備はもとより、隣接住戸の騒音や防犯面で注意が必要です。
自分で好きなようにリフォームすることもできません。
ファミリータイプ(3LDK以上)の物件が少ないのもデメリットです。
特に4LDKとなると極端に減ります。
そして、困る前に知っておきたいのが退職後に引越ししたい場合です。
年齢が高齢になるほど、支払い能力と孤独死の可能性が高くなることを理由に入居を断られることが多くなります。
賃貸のデメリット
・内装や間取り、設備などが自分の好きなようにできない
・建物や設備のグレードが低い
・一生家賃の支払いが続き、資産にならない
・高齢になったとき、契約を更新できないことがある
・ファミリー向けの物件は選択肢が少ない
購入のメリット
設備や建具などが賃貸物件に比べてグレードが高く、間取り変更など将来のリフォームも自由です。
また、退職までに住宅ローンを完済すれば、老後の住居費の負担が抑えられるのは大きなメリットです。
住宅ローンに加入する多くの場合、団体信用生命保険(団信)に加入することになります。
団体信用生命保険は、住宅ローンの名義人が返済途中で亡くなった場合、返済が免除されますので、名義人である夫が万が一の時に、家族に住宅を残すことができ、保険の代わりにもなります。
また、不動産市況が安い時に買えた場合は、市況が良くなってきたときに買った時よりも高く売却できる可能性があります。
2021年現在においても、10年ほど前に購入した人は、多くの方が新築時より高く売却できるため、みなさん驚いています。
売却利益を目的に購入するのはナンセンスなので、そういった可能性もあるぐらいにとどめておきましょう。
購入のメリット
・内装や設備などハード面のクオリティが高い
・ファミリータイプの物件が賃貸に比べて充実
・間取り変更や設備交換など、自分の好きなようにリフォームできる
・ローン完済後は、住居費の負担が軽くなるとともに資産になる
・夫に万が一のことがあっても、団体信用生命保険で安心
・不動産市況により、売却して利益を出すことも可能
購入のデメリット
家は所有してしまうと、引越したくなった時、売却か賃貸が必要なため、簡単には引越しづらいというデメリットがあります。
ただし駅から徒歩5分以内など、売りやすく貸しやすい物件を選んでおくことで、このデメリットは回避することが可能です。
経年劣化に応じた家の補修や設備交換、固定資産税や修繕積立金・管理費・駐車場代(マンションの場合)といった出費があることは、頭にいれておく必要があります。
また、収入が減ってもローン返済額やその他固定費を減らすことはできないため、余裕を持った資金計画で購入するようにしましょう。
購入のデメリット
・賃貸に比べて簡単に引越せない
・住居費を下げられない(ローンに縛られる)
・メンテナンス費用がかかる
・固定資産税や修繕積立金・管理費・駐車場代(マンションの場合)がかかる
賃貸と購入、それぞれ向いている人の特徴
最後に、賃貸と購入でそれぞれ向いている人の特徴を解説していきます。
賃貸に向いている人
賃貸に向いている人は、転勤やライフスタイルの変化が多い人です。
収入が安定していない人も、そのときどきの収入に見合った住居にする必要があるので、賃貸の方がいいでしょう。
会社から社宅提供や家賃補助が支給される人は、その制度が利用できる間は賃貸の方がお得になる可能性が高いといえます。
賃貸に向いている人
・転勤やライフスタイルの変化が多い人
・収入が安定していない人
・社宅や家賃補助制度がある会社に勤めている人
・大きな借金を背負いたくない人
購入に向いている人
資産を残したいと考えている人は購入をおすすめします。
また、クオリティや設備にこだわる人は購入に向いています。
購入した後は自分の好きなようにリフォームして楽しむこともできます。
購入に向いている人
・資産を残したい人
・収入が安定している人
・自分の好きなようにリフォームしたい人
・ハイグレードな家に住みたい人
・賃貸には少ない4LDK以上の部屋数が必要な人
まとめ
いかがでしたか?
購入にも賃貸にも、それぞれメリット・デメリット、向き・不向きがあります。
コスト面の損得だけでなく、自分のライフスタイルや今後の収入などさまざまな視点から自分に合うのはどちらなのかを考える必要があります。
僕の場合は、ライフスタイルによって住む場所や広さを変えたいので、賃貸に住み続けています。
ただ早く大きな一棟マンションを建てて、その最上階に住みたいという野望を持っています^^
そしてこういったことを考えて行動するのは、早ければ早いほど有利になります。
購入する場合は早く購入した方が、その分無駄な出費を抑えることができますし、返済も早く終わりますからね。
この記事をきっかけに、賃貸or購入を真剣に考え、自分のライフプランを設計してみてはいかがですか?