
こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
「不動産価格はどうしてコロナ禍でも下がらないの?」
「不動産価格の2022年今後の動向は?」
不動産価格は2012年頃から、大都市を中心に大きく値上がりしてきました。
これはアベノミクスや東京オリンピック特需、超低金利や訪日外国人の増加などを背景としていました。
そんな中で、徐々に不動産は高くなりすぎではないか?という声も聞こえ始め、2020年東京オリンピック後に不動産価格は暴落するという予測もささやかれていました。
しかし、誰も予想できなかったコロナ不況やオリンピックは終わったにも関わらず、現在の不動産市況は好況を維持したままです。
なぜでしょうか?
今回はこの疑問に応えるべく、いろいろと考察してみました。
今何が起こっているのか分かれば、不動産価格が今後どうなるか見通すこともできます。
そこで、コロナ禍においても不動産価格が下がらなかった理由をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
コンテンツ
不動産価格が下がらない理由① 建築コストが高いまま
まず、世界的な資源価格の高騰で建設コストが上がっていることが挙げられます。
コロナで世界的に不況になっているのだから、建材価格も安くなるのではないかと思うかもしれませんが、そう単純なものでもありません。
確かに世界的に建設が滞ったことで、資材に対する需要は減少しているかもしれません。
しかし同時に、物を運ぶのも滞ってしまったので、資材が足りない状況が生まれました。
実際に木材価格が高騰しましたよね。
そして新築マンションの販売は鈍りましたが、戸建の新築建売はコロナが追い風になったので、やはり資材は供給不足の状態です。
建築費が下がらないと、新築の不動産価格を下げることができず、結果中古市場にも影響をおよぼしています。
不動産価格が下がらない理由②
デベロッパーが時間をかけて売るようになった
デベロッパーの大手寡占化が進んだことで体力のある会社が増え、売れなくても価格を下げて早く売ろうとせず、じっくりと腰を据えて販売することが多くなりました。
体力のないデベロッパーの場合、建設したマンションを短期で売り切らないと、銀行に返済する資金を捻出できません。
このため中規模以下のデベロッパーは、場合によっては価格を大幅に下げてでも売り切ろうとします。
しかし、大手はもともと企業体力があるので、販売が不振だったとしても、たたき売る必要がありません。
それがコロナ禍においても、大半のデベロッパーは在庫として保有し、しばらくの間、様子を見るという行動に繋がりました。
様子を見ている間にコロナも落ち着いて、今なお買い需要自体は旺盛なため、なかなか価格が下がりません。
不動産価格が下がらない理由③
低金利によるイールドギャップの拡大
不動産市場が高いかどうかを判断できる指標に「イールドギャップ」というものがあります。
不動産投資におけるイールドギャップとは、「投資物件の実質利回りと借入金利との差」です。
例えば、ある物件の実質利回りが5%で、購入資金を金融機関から金利2%で借りる場合、実質利回り5%と借入金利2%の差であるイールドギャップは3%です。
そのイールドギャップが大きい物件ほど、収益性が高い物件となります。
イールドギャップ(%)=実質利回り(%)ー 借入金利(%)
イールドギャップが大きい=収益性が高い
不動産価格の判断基準の一つですが、不動産のイールドギャップが長期金利(10年物国債の利回り)を下回る状態の時は高い(バブル)と言えます。
イールドギャップ<長期金利(10年物国債利回り)→ 高い(バブル)
イールドギャップ>長期金利(10年物国債利回り)→ バブルでない
イールドギャップよりも長期金利の方が高ければ、その不動産を買うよりも10年物国債を買う方がお得ということになりますからね。
しかし、そのような収益性の低い不動産に対しても、将来的な上昇を期待してキャピタルゲイン狙いで購入する投資家が現れます。
それが過熱していくと、「バブル」になるわけです。
まとめると、不動産の利回り自体は低下しているものの、低金利が続いているためイールドギャップは広がっており、相対的に安定的な利回りを維持しているのが不動産市場の現状です。
不動産価格が下がらない理由④ 上がり続ける株価
株価が下がるとそれを補填しようと不動産を売却することがあり、株価が上がるとその利益で不動産を購入しようとする動きが生まれます。
そのため不動産市況は日経平均株価と似た動きをします。
そう考えると、金融緩和により日経平均株価は令和2年12月現在29,000円近くまで上がっているわけですから、不動産価格も上がって当然ということです。
不動産価格が下がらない理由⑤ 銀行の融資姿勢
融資が厳しくなっていないことも要因の一つとして考えられます。
不動産投資のためのプロパーローンなどは条件が厳しくなっていますが、住宅ローンに関しては厳しくなっていません。
投資用の融資は厳しくなったとはいえ、超金融緩和により現金を持っている企業や投資家が多い分、今のところ買う人は減っていない状況です。
お金がない人は買えない、ある人は買えるという二極化の状況が生まれており、その傾向は今後ますます強まる恐れがあります。
不動産価格の今後の懸念材料
これまで、不動産価格が下がらない理由について解説してきましたが、今後も安泰かというとそうでもなさそうです。
ここでは、今後の不動産市況における懸念材料について解説していきます。
テレワークと企業の倒産でテナント需要が急減
政府による外出自粛要請をきっかけに、多くの企業が仕事の仕方をテレワークに移行し始めました。
それに伴い、各企業はオフィスを縮小したり県外の家賃の安い場所へ移転をし始めています。
そしてオフィスは不要であることに気付き始めた企業が、コロナ後に元の働き方に戻ろうとするとは思えません。
また、コロナでたくさんのテナントを抱える飲食店が大きな打撃を受けています。
大手飲食店では何百店舗も撤退を決めたりと、すごい勢いで店を潰していってます。
そうなると、当然テナントの空きが目立つようになり、現在の家賃では入居が決まらないため、家賃を下げ始めます。
空き期間が長くなったり家賃が下がると、当然オーナーは収益が下がるので売却を検討します。
売る人が多くなると供給が需要を上回るようになり、価格は下がっていくことになります。
特に立地に優位性がない場所で、この流れが加速していく可能性があります。
金融引き締め
いつも不動産価格が下落するのは、「金融引き締め」の時です。
金融の引き締めが始まると、金融機関から不動産融資が出づらくなり、金利は上昇します。
不動産は価格が大きく、自己資金のみで購入できる人はほとんどいないため、金融機関が融資に消極的な姿勢になると、不動産を買える人が減ります。
不動産を買える人が減ると、当然価格は下がります。
1990年頃のバブルの時には、行き過ぎた不動産価格の高騰を抑えるために旧大蔵省が不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑えるという「総量規制」を行いました。
これによってバブルが崩壊し、不動産価格は暴落しました。
このように、不動産市場は金融市場と表裏一体の関係にあります。
株価はコロナが終息し金融引き締めが始まるまでは上昇すると言われるように、不動産市場の先行きも金融政策の動向が大きく影響します。
コロナの影響による収入減少
コロナ禍における超金融緩和により、貧困格差が間違いなく広がっています。
一般年収のサラリーマンは今後生活が厳しくなる中で、不動産を買う余裕がある人が減っていくでしょう。
賃貸も今より安いところへ引越しを始める人が増えていきそうです。
実際に僕の賃貸物件でも、コロナの影響により、今より安いところへ引越したいという理由で2件退去が出ました。
最も多い一般世帯の収入の減少は、購入と賃貸どちらにおいても今後ますます悪影響を及ぼすでしょう。
デベロッパーの体力
不動産価格が下がらない理由で、体力のあるデベロッパーが増えたため売り急がなくなったと言いましたが、いくら大手でも体力の限界はあります。
僕は今後、新築マンションは売れ残りが増えて、大きな値引きを余儀なくされると思っていますが、これからは体力勝負になります。
体力勝負に負ければ、新築価格は下がり、それにつられて中古マンション価格も下がり始めます。
新規着工も減る中で、今後どのようにしてデベロッパーが収益を出していくのか注目しています。
中国の不動産バブル崩壊懸念
中国不動産大手の中国恒大集団が、部分的な債務不履行(デフォルト)に陥りました。
完全かつ正式なデフォルト宣言はされていないものの、格付け会社のS&Pグローバル・レーティングが「デフォルトは不可避」との見方を示すなど、投資家の間で中国不動産業界への警戒感が強まっています。
恐いのは、中国恒大集団のデフォルトが他の不動産企業に波及し、デフォルトの連鎖が起こることです。
こうなると、日本を含めた諸外国にも少なからず影響が出ることが予想されます。
マインド面での影響も心配なところです。
不動産価格は今後どうなる?
以上のことを踏まえ、ここでは今後の予測をしていきたいと思います。
僕はここ1,2年は株価と同じように旺盛な押し目買いに支えられ、大きな値下がりの可能性は低いと考えています。
しかし、何かしらのきっかけで大きく変動が起こる可能性もあります。
それが今予想できる範囲では、金融引き締め開始と言われていますよね。
どちらにせよ不動産市場では、今後株価のようにもっと上昇が見込めるということはなさそうです。
なぜなら、一般世帯の収入が下がっていること、プロパーローンの融資が厳しくなっていることにより、誰でも買えるというような状況にはないからです。
株であれば何百円何千円からできますので、どんどん市場に素人が入ってくることで、さらなる上昇の可能性もありますが、不動産市場でそれはないということです。
テナントの空室率も今後大きな影響を及ぼすと思っています。
不動産投資の場合、今は転売で得られるキャピタルゲインをヘッジとして、多少利回りが低くてもどんどん買っていくというフェーズにないことだけは間違いなさそうです。
僕としては、早く暴落が起こって安く物件を手に入れたいのですが、果たしてどうなるのでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
新型コロナウイルスによる混乱は、ほとんどの人が初めての経験で、難しいかじ取りを迫られています。
しかし、不動産価格が上がる時下がる時の理由は、常に不変です。
新たな情報を常に取り入れ、冷静に今の状況を見極め、今後の不動産市況にも対応していきたいものですね。
この記事がその材料になれば幸いです。